熊谷元一とは

プロフィール

 熊谷元一は1909年、会地村(現在は阿智村)に生まれた写真家・童画家です。1936年にカメラを購入し、2010年に亡くなるまで、会地村を中心に飯田下伊那地域の写真を70年にわたり撮り続けてきました。多くの写真集を発刊し、代表作に「会地村」(1938)、「一年生」(1955)があります。

 熊谷元一氏は生涯、アマチュアカメラマンとして活動しました。会地村に暮らし、教員として会地小学校、伍和小学校に勤務していたため、村の何気ない日常や学校での子どもたちを撮影することができました。写真からは当時の人々の等身大の生き様を見てとることができます。また細部に写り込む道具や服装、景色からその時代背景を知ることができます。

略歴

  • 1909年 長野県下伊那郡会地村(現阿智村)に生れる。
  • 1932年 童画作品が『コドモノクニ』5月号に初めて掲載。以後、童画家として数多くの作品を発表する。
  • 1936年 単玉レンズ付きパーレットカメラを購入し、写真による村誌作成を決意。
  • 1938年 写真集『会地村 一農村の写真記録』(朝日新聞社)出版。
  • 1955年 『一年生 ある小学教師の記録』(岩波書店)で第1回毎日写真賞受賞。
  • 1968年 絵本『二ほんのかきのき』(福音館書店)出版。百万部を超えるロングセラーとなる。
  • 1975年 写真集『ある山村の昭和史 信州阿智村39年』(信濃路)出版。
  • 1988年 阿智村に「ふるさと童画写真館」(現熊谷元一写真童画館)開館。
  • 1989年 『グラフィック・レポートふるさとの昭和史 暮らしの変容』(岩波書店)出版。
  • 1990年 日本写真協会功労賞受賞。
  • 1992年 『画集 熊谷元一の世界』(郷土出版社)出版。
  • 1993年 長野県教育関係功労賞を受賞。阿智村名誉村民。
  • 1994年 文部大臣より地域文化功労者として表彰される。
  •     『熊谷元一写真全集』全四巻(郷土出版社)で第48回毎日出版文化賞特別賞受賞。
  • 1995年 伊那谷の生活・文化を写真と童画で記録した功績で第2回信毎賞受賞。

村としての取組み

 阿智村は熊谷元一の精神を引き継ぎ、現在の阿智村を撮影記録する「農村記録写真の村宣言」を行っています。写真を切り口に地域や生活を見つめることでより豊かな農村文化のある村をめざしています。